惑星の重力を利用するスイングバイ航法
宇宙機が極めて速い速度で飛ぶことができれば、太陽の重力を振り切って太陽系から脱出することができます。それだけの速度を出すのは難しいことですが、科学者たちは奇抜な方法を思いつきました。それは、惑星の重力を利用することです。
例えば、宇宙機が木星を通り過ぎるとします。宇宙機が木星に近づくと、木星の重力に引っ張られて速度が速くなります。そして、木星を通り過ぎると、今度は木星が引っ張る力に影響され、宇宙機の速度は落ちます。方向が変わっただけで、速度の大きさは変わらないのではないかと思うかもしれませんが、ここには秘密があります。木星の公転速度が加わるのです。
惑星の重力を利用することによって、宇宙機の速度を上げたり下げたり、方向を変えたりすることができます。ボイジャー号とパイオニア号は、この方法で高速飛行を可能にし、太陽系の各惑星に立ち寄ったり写真を撮ったりしました。こうして、ボイジャー1号は、太陽系を脱出した最初の宇宙探査機になったのです。
▇ Voyager 2 · ▇ Earth · ▇ Jupiter · ▇ Saturn · ▇ Uranus · ▇ Neptune · ▇ Sun
©NASA
ボイジャー2号の航路です。地球を出発して木星、土星、天王星、海王星を次々と通り過ぎながら探査し、スイングバイ航法によって加速して太陽系を飛び出すことができました。
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